■学園モノ・妊娠・人外も?陵辱系だけにとどまらない「エロゲ規制」 (痛いニュース)
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1274956.html


今、巷で話題のエロゲ規制問題。一度、このブログで触れねばいけない話題だとは思っていたんですけどね。まあ、いろいろと思うところはある訳で。それを全て書いてしまうと長くなりすぎそうなんで、今回は要点だけざっと書いてみたいと思います。

フィクションの表現を規制することがいかにナンセンスであるかという事は他の方々が散々触れられてるので、今回はその点には深く言及しません。この規制問題については理屈云々というよりも感情論が先に来ている問題なので、いまさら理論立てて反対しようと、あまり意味はないですからね。


■沙織事件とソフ倫の設立。


同じような大規模な規制は18年前にもありました。ソフ倫(コンピュータソフトウェア倫理機構)設立のきっかけとなった沙織事件がおきたのです。この事件は京都で男子中学生がエロゲを万引きをして捕まった事件が騒ぎのきっかけとなり、業界大手のフェアリーテール(現F&C)とJASTが警察の摘発を受けた事件です。捕まった中学生の父親が「こんなエロゲがあるから、子供が万引きしたくなるんだ!」と見当違いの事を言って騒いだせいで、問題が大きくなり摘発に繋がりました。

フェアリーテールは「沙織」「ドラゴンシティ X指定」、JASTは「天使達の午後3 番外編」というタイトルが摘発を受けました。

ちょうど私がエロゲに手をだし始めた頃に発生した事件だったで凄く印象に残ってます。事件で摘発された「天使達の午後3 番外編」を私は当時持ってましたし…。摘発の翌日、近所のPCショップに行くとゲームコーナーからエロゲが全て撤去されていました。あの光景は衝撃的でしたね。

ただ、今考えると、当時はソフ倫のような審査機関もなかったですし、年齢規制も、性器に対するモザイクもありませんでした。エロ漫画などはすでに規制が入っていたとは思いますが、エロゲに関しては、業界が出来て10年ほどと歴史が浅く、「177」というゲームが取り上げられ発売中止になった事件があったりはしましたが、ほとんど野放し状態でした。

どちらにしても摘発や規制がされるのも時間の問題だったような気がします。その事件をきっかけに、メーカーが摘発される前に自分たちで摘発の要因になりそうな表現を規制していこうとメーカーが集まって設立したのがソフ倫なのです。


■緩くなる規制に感じる不安。


設立当初、規制はかなり厳しいものでした。しかし、時間が経つにつれて規制は少しずつゆるんで行った感があります。ソフ倫の規制が納得出来ず、メディ倫などの他の倫理機構に審査を持って行くメーカーも出て、その影響もあってか、エロゲの表現規制は全体的に以前に比べかなり緩くなったと私は感じてました。

正直な話、私も心配はしてたんですよ。ソフ倫の規制は、表現を縛るものではありましたが、また逆に業界や会社や制作者を守るものでもありました。社会に対し我々は自分たちでちゃんとやってますから、目をつぶって下さいねという姿勢を示すものでもありました。厳密にいえばいろいろありますが、少なくとも建前上はそういうものなのです。

明らかに高校が舞台であるのに学園と標記してみせたり、明らかに中学生なのに18歳以上とか書いてみたり、そういった表現をぼやかしたり、無理矢理、妹を義理の妹という設定にしてみたりと、馬鹿げているとは分かっていても建前上のそういった表現が必要だったんです。

馬鹿げると思いつつも、ユーザーに文句をいわれつつも、そういう涙ぐましい努力をしていかなければ、外部の警察やフェミ団体やマスゴミにいつちょっかいをかけられるか分からない、そんな業界なんです。ユーザーも少しは理解してあげられないかなあとは思ってました。

また、ネットなどで子供にも簡単に手に入るようになったり、あきらかに18歳未満なのにエロゲを堂々と語る者がいたりと、正直レーティングがきちんとできてるとは思えない状況がありました。私のサイトにも以前、高校生と思われる方がエロゲについて書き込みをされたのでやんわりとたしなめた事もありました。

私はレーティングについては必要だと考えています。健全育成うんぬん以前に、年齢的に責任を問われない人間が不用意に手を出して、不用意に影響されて騒ぎを起こすなんて事態を避けたいからです。沙織事件の原因を作ったのも本来、プレイするのにふさわしくない年齢の子供でした。そういった経緯もあるし、業界はもっとしっかりレーティングをして行くべきだと私は思います。


■規制の動きは必然だった。


時代の流れから見ると、そろそろ、大きな規制が入る時期だったかなと思わなくはないです。

エロ漫画などもそうですが、極端に規制が緩い時期と、極端に規制が厳しくなる時期という波があります。そういった規制はだんだん緩くなっていって、ある程度行きすぎた時に、摘発や法規制がおこって一気に厳しくなる。しかしそれが時間が経つにつれてまた少しずつ緩くなって、緩みが行きすぎてまた摘発、規制。エロメディアの歴史はその繰り返しだと言えるでしょう。

たとえばエロ漫画に関しては、今はかなり緩い時期でもあります。性器の表現がまったくできない時代もありました。今では無修正に近いような状況です。こちらもそろそろ危ないんじゃないかと思います。

こういった流れが存在する訳です。そして今はエロゲ業界にとって引き締めの時期に来てるだけなのではないかと私は思ってます。

今回は前回のように摘発がないだけマシです。そして国に介入される前に、業界内で規制を強め、自分たちの身を守ろうとするのは当然の動きでしょう。国やエロゲを快く思ってない団体の介入という自体にくらべれば、自主規制で済ませられるのであれば、それに越したことはありません。


■サブカルチャーが大きくなった事の弊害?


また、別の見方から今回の騒動を眺めてみれば、肥大化するオタク文化ならびにオタク産業に介入する機会を国が狙っているのかもしれません。

規制をちらつかせ、業界団体を作って、そこを天下り先にする。規制をちらつかせにロビー活動費をもっとよこせと言う。昔は小さい業界で、注目度も低かったけど、最近は無視できない規模の産業に成長してきたのを見ていいカモだと思ってるのかもしれません。

そういった連中が、イギリス議会での件を利用して騒ぎを煽ってるような気もします。よくこの一件を捕鯨問題の構図と似てると指摘する方がいますが私もその意見に賛同します。理屈抜きの感情論で社会を煽って、なにかの利益を得る人がいるのではないか、そう疑ってしまうのです。

オタク産業が日本を代表する産業のひとつとも言えるようになってきました。そこに国や権力者が介入する手段として、一番突かれやすいエロメディアを突いて来るのはある意味必然だったのではないかとも邪推してしまいます。まあ、あくまで想像ですが。


■いつだって火種は思いもよらぬ所から。


18年前の件と、今回の件、似たところがあるとすれば、どれもエロゲ業界のあずかり知らないところで騒動が起き、飛び火してしまった所です。両件とも、まったく予想以外の所から火が出て飛び火しました。前回についてはメーカーは窃盗の被害者でもあったはずです。それがあれよあれよという間に摘発ですよ。

今回も地球の裏側、イギリスの議会で起こった事が引き金となっています。国内で起こった事で、騒ぎが大きくなるならともかく、遠い外国で、法も文化も考え方も違う国で起こった騒ぎが原因というのもなんだかなあと思います。日本のオタク文化が外国でも騒がれているのを知って、喜んで浮かれていたところに、冷水をぶっかけられたような感じがしました。

日本のサブカルチャーであるオタク文化が海外でも広がるのは良いことだとは思います。しかし国や文化の違いなどから、いろいろと綻びも出てくる訳ですが、それがまさかこういう事態に発展するとは想像もしませんでした。まさにエロゲ業界の黒船来航。外圧によって国内のエロゲが規制されるなんて誰が想像したのでしょうか。

なんだか、オタク文化って大きくなれば大きくなるほど弊害も大きくなってしまってるような気がします。その弊害がいつか文化の縮小に繋がらなければいいのですけど。

私はエロゲも含め、オタク文化が市民権を得る事に対しては手放しで歓迎できないと思っています。それに伴い発生するさまざまな足かせが文化を萎縮させてしまうのではないかという危惧があるからです。今回の件もその現象のひとつではないかと私は思います。


■実はそれほど心配はしていなかったり。


いろいろと言いはしましたが、結論としては、一連の騒動に関しては今のところそれほど心配はしていません。述べたように今回の騒動は歴史の流れから見て必然だったように思えますし、現在のところ規制は業界内に止まってます。18年前、メーカーが摘発を受け、店先から一斉にエロゲが無くなった状況に比べればまだマシだといえるでしょう。

18年前の騒動の後の厳しい自主規制の中でも、名作はたくさん生まれました。事件直後の厳しい規制の中でも「きゃんきゃんバニープルミエール」「同級生」(1992年)「きゃんきゃんバニーエクストラ」(1993年)「ドラゴンナイト4」「闘神都市2」(1993年)などのヒット作を生みました。特に「同級生」はその後の恋愛ゲームの形成に大きな影響を与えたゲームといえるでしょう。

そんな危機を乗り越えていった業界なので、今回もなんとか工夫と努力で乗り越えていってくれる事でしょう。今回は過去の経験もあります。また支持者も多いでしょう。

今回の件は業界の緩みを引き締めるのに良い機会だったと前向きにとらえて頑張っていってほしいものです。また、ユーザー側もそういった業界の立場、強いてはエロゲユーザーとして自分たちの置かれてる立場を理解し、今後の成り行きを見守っていこうではありませんか。

今回の問題に対し、早まった行動に出ないで欲しいです。下手に騒げば相手に絶好の反撃の材料を提供することになります。感情論に感情論で立ち向かっては駄目です。冷静な行動をとるようにお願いしたいです。できるのならば、静かに沈静化を待つのが正解だと思います。


■さいごに


最後にひとつだけ。

誰も人の表現の自由を止める事などできません。力で規制しようと法で規制しようと人の想像、妄想を規制するということは不可能で、それを表現するのを禁止させるというのは非常にナンセンスな話です。表現の方法なんて様々あるし、たとえエロゲというものを規制しても、また他の形で表現されるだけでしょう。

昔、デーモン小暮閣下がオールナイト日本の最終回で言った言葉を思い出します。一言一句は思い出せませんが、意訳すると「たとえ言葉を規制してもただそれに変わる同じ意味の言葉ができるだけ。言葉を規制するのは馬鹿げてる。なぜなら言葉は生き物なのだから」

その言葉を借りて私は言いたい「たとえ表現を規制しても、それに変わる表現ができるだけ。表現を規制するのは馬鹿げている。なぜなら表現は生き物なのだから」

人の想像を否定する、人の表現を規制する、どちらも不可能な事だと私は言いたい。少なくとも感情論で押し切って納得できるようなものではありません。どんな形のものであってもフィクションを規制する事は非常にナンセンスな話であると私は思ってます。



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